坂村 真民

(さかむら しんみん)

1909年 熊本県生まれ  詩人

念ずれば 花ひらく



念ずれば 花ひらく

苦しい時

母がいつも 口にしていた

このことばを

わたしもいつのころからか

となえるようになった

そうしてそのたび

わたしの花が ふしぎと

ひとつひとつ

ひらいていった

からっぽ

頭を

からっぽにする

胃を

からっぽにする

心を

からっぽにする

そうすると

はいってくる

すべてのものが

新鮮で

いきいきしている

つみかさね

一球一球の つみかさね

一打一打の つみかさね

一歩一歩の つみかさね

一座一座の つみかさね

一作一作の つみかさね

一念一念の つみかさね

つみかさねの上に

咲く花

つみかさねの果てに

熟する実

それは美しく尊く

真の光を放つ

  石を思え

腹の立つときは

石を見よ


千万年も黙って

濁世(じゃくせ)のなかに

座り続けてきた

石を思え






本気

本気になると

世界が変ってくる

自分が変ってくる

変ってこなかったら

まだ本気になってない証拠だ

本気な恋

本気な仕事

ああ

人間一度

こいつを

つかまんことには

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